昨夜(2021年4月28日)は、「人を大切にする経営研究会」の令和3年度第1回定例会(オンライン開催)でした。

今回は、「人を大切にする経営と中小企業診断士の役割」と題して、千葉商科大学大学院 商学研究科 客員准教授水沼啓幸先生の講話をお聴きしました。

水沼先生は、宇都宮市に本社を構える経営コンサルティング会社「株式会社サクシード」の代表取締役でもあり、設立から10年以上にわたり自らの会社で「人を大切にする経営」に取り組んでこられた経験を踏まえ、「人を大切にする経営」を実践していくうえでの重要なポイントについて講話いただきました。

「人を大切にする経営」における人とは

1.社員とその家族

2.社外社員(協力企業、その社員)

3.現在顧客と未来顧客

4.地域社会(住民)、とりわけ障がい者や高齢者

5.株主・出資者・関係機関

を指し、「人を大切にする経営」とは、この「5人」に対する責任を果たすこと(幸せにすること)です。

特に今回の講話では、「やさしさ」にフォーカスされがちな「人を大切にする経営」の実践面での厳しさや、それに取り組む経営者の覚悟を問うものとでした。

「大切にする」とは、

社員を甘やかすこととは違う・・「企業経営において、どのような外部環境の変化にも対応できる戦略を体系化したビジネスモデルが必要である、そのビジネスモデルを運営していくために人事(評価制度、働き方)と財務(自己資本比率、キャッシュフローの視点)の両輪が必要だ」-日本レーザー 近藤宣之会長-

「大切にする」ことの意味は、働き手である社員の心の満足と同時に、「価格競争から距離を置き、高い付加価値と収益を持続的に生み出していくビジネスモデルを確立する」という経営者にとって決して楽ではない命題の実現が前提であり、それゆえ5年、10年という努力の結果なせるものである。

そう語る水沼先生のお話しは、私には、「支援する側の中小企業診断士の覚悟も問われている」と聞こえてきたのでした。

中小企業の中には、明確な収益目標もそこに至る戦略もなく目の前の業務に追われている、悪く言えば場当たり的な経営に終始している企業がまだまだ多くあります。その意味で、経営におけるセオリーを学んできた中小企業診断士が、企業の経営改善の役に立てることは少なからずあると信じています。

しかし、一方で、社員を抱え、借金を抱え、誰よりも苦労されているのは紛れもなく「経営者」その人です。経営コンサルタントと偉そうに言ったところで、社長が負う責任とは天と地ほどのさがあります。だからこそ、私たちは、そのことを肝に銘じ、謙虚な気持ちで頼られる存在になれるように努力しなければなりません。

水沼先生も、「サービスも料金も中小企業に合致しないコンサルティングファームの実情を知り、事業を引き継ぐ後継者の立場で悩みや困難に直面するであろう同世代経営者をサポートしたいという思いから創業」されたとのこと。

この会での学びはまだまだ続きそうです。

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