今朝の読売朝刊「ワールドビュー」に興味をひかれた。転載できないので要旨だけ記載すると…

「コストカットを掲げ、22年前に日産に乗り込んだゴーン被告が引き起こした部材や部品メーカー間の激烈な値下げ競争=ゴーン・ショック」から、ようやく日本の製造業が抜け出しつつあるというもの。

当時は、株主の利益が最優先の経営が正義とされ、部材・部品メーカーに限らずあらゆる「下請け」がコストダウンを求められ、ほぼ20年間にわたり賃金は抑制され、世界の中でどんどん貧しい国への道を進んでいる。

そのような「株主中心の経営」に真っ向から疑問を呈し、「人を大切にする経営」を主張されたのが、当時法政大学大学院教授をなさっていた坂本光司先生だ。

先生の著書「日本でいちばん大切にしたい会社」は、ベストセラーとなり、その後の「人を大切にする経営学会」の設立につながる。

さて、ここから本題。

今週土日(9月11、12日)は、学会の年次総会(オンライン開催)。

テーマは時代を反映した「ウィズコロナ時代の人を大切にする経営~SDGsとダイバーシティの観点を踏まえて~」。

私は、新参者、初参加でしたが、なんと11日が、朝10:00から18:00過ぎまで、12日も9:30から16:30までという長丁場のスケジュールだったのでした。

初日午後に行われた「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」受賞企業のプレゼンテーションは、期待通りの濃密で示唆に富んだ内容でした。

受賞企業は全部で28社、とても紹介しきれないので学会のHPをご参照願いたいと思いますが、私が強くひかれたのは、徳島県の高橋ふとん店さん。

なんといっても、ふるさと徳島の、しかも、すぐ近くの会社なんです。といっても、地元で働いたことがない私は、最近まで全く存じ上げず…。すごい田舎なんですよ、徳島。でも身近にこんな素晴らしい会社が…。うれしいですよね。

「笑顔創出企業」を謳う同社の経営理念をご覧いただきたいと思います。

こちら

また、地元の学生さんが作製した紹介動画のリンクも張っておきます(学生が動画をつくってくれるなんて、地元で愛されていることがわかりますね)。

こちら

受賞企業は、従業員が安心して働ける環境をつくり、障がい者雇用に熱心で、事業を通じて社会に貢献していくことを目指しています。

ゴーンさんが目指した「株主のための会社」ではなく、「従業員や取引先、顧客、地域社会の幸せに資することが会社の目的である」という考え方です。

「人を大切にする」という言葉は、ともすれば「甘え」「ぬるま湯」のようなイメージを抱きがちかもしれませんが、受賞企業はどこも「財務体質」面でも優良企業です。

不況になるたび社員を解雇し、会社の(経営者の?)保身の犠牲にするようでは、従業員はとても安心して働くことはできませんし、会社に対するロイヤリティは生まれません。

「人を大切にする」ということは、「働く環境を整え、従業員がやりがいをもって、存分に力を発揮してもらうことによって、高い収益力につなげて行く」ということでもあるのです。

さらに、厳しい支払条件や過度なコストダウン要求とは無縁で、仕入れ先とも良好な関係を築いていて、仮に会社にとって厳しい状況が生まれたとしても、「●●さんだけはつぶれてもらっては困る」と一生懸命支えてくれるのです。

ゴーンさんは、下請はもちろん、従業員もコストのひとつと考えていたのではないかと推察しますが、人は「人財」、大切な経営資源です。

年次総会でも「利他」というキーワードが何度も登場しました。これは、元々日本的経営の中心的な理念であると思います。

世の社長さん方には、「儲かる会社」にしたいのなら「人を大切にする」ことですよ!と申し上げたいです。

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